2020年11月のテーマ 活動をつなぐ
1、11月のテーマは「活動をつなぐ」です。
2、事業と活動
生協はもともと、安全なものを食べたい!と思った消費者が、自らお金や人を集めて、自分たちが食べたいものを共同購入する団体を作ったのがスタート。だから、なんでも自分たちでやるのが基本です。でも、毎日の仕入れや配送、問い合わせへの対応など、ルーティン的なことや専門的な技能を求められる部分(=事業)は人を雇ってやってもらうことにしました。そして、それ以外の組合員が主体となって行っている部分を「活動」と呼んでいます。なので、活動の範囲はとても広い!たくさんの方が関わってくれるほど、広く深い活動ができます。生協では、事業と活動が両輪となって進んでいくことを大切にしています。
3、コープ自然派の歴史
1970年代後半から80年代にかけて、有機農業運動やロングライフ牛乳反対を呼びかける共同購入団体や消費者グループがたくさん生まれました。コープ自然派の前身もそのような団体のひとつです。以来、原発反対、遺伝子組み換え食品反対、せっけん推進、有機農業推進などの活動に取り組んできました。そして実際に低温殺菌牛乳や有機農産物などを事業として販売し、組合員が買い支えています。これが事業と活動が両輪となって進んでいくという意味です。
4、安全な食を求めて
1950年代から60年代にかけて、森永ヒ素ミルク、水俣病、カネミ油症など食の安全を脅かす大事件が相次ぎました。また、農業の近代化により農薬や化学肥料が多投入されるようになります。有吉佐和子さんの『複合汚染』という本が出版されたのは1975年のことでした。これらの被害はいまも続いています。同じ過ちを繰り返さないために、という思いで運動をしている人が今もたくさんいます。
5、原発反対
広島、長崎に落とされた原爆の被害を見聞きすることによって、放射能の恐ろしさは広く知られているのではないかと思います。原発はその同じ原子力を発電に使おうというものです。放射能は恐ろしいけれど、事故が起きなければ放射能は出ない、そして事故は絶対に起きないといわれて建て続けること57基。2011年には絶対に起きないはずの事故が起き、現在も被害が続いています。コープ自然派では一貫して原発に反対しています。
https://www.nara.shizenha.net/event/1135/
6、NON-GMO
遺伝子組み換え食品(GMO)反対も組合員活動から始まった取り組みです。除草剤グリホサートをかけても枯れない遺伝子を組み込んだり、殺虫毒素をもつ微生物の遺伝子を組み込んだ大豆やナタネ、トウモロコシ、ワタなどが大量に輸入され、ほとんどの場合、何の表示のないままに日常の食卓に上っています。健康被害も報じられるこのような食品は食べたくないし、栽培もしてほしくありません。コープ自然派ではGMOに反対するとともに、カタログの商品にNON-GMOマークを掲載しています。
https://www.nara.shizenha.net/event/1163/
7、タネを守りたい
わたしたちは毎日たくさんの農産物を食べて生きています。作ってくださる農家さんに感謝です!と同時に、タネがなければ農家さんも作ることができません。この種をめぐって、2つの法律が変わろうとしています。ひとつは「種子法」。米、麦、大豆といった主要作物の優良な種子を国の責任で安定的に生産・供給しなさいという法律でしたが、2018年に廃止されてしまいました。もうひとつは「種苗法」。登録品種の自家増殖を禁止する内容に今まさに改定されようとしています。この2つの法律の廃止&改定に強い危機感を抱いています。
https://www.nara.shizenha.net/event/1167/
8、ネオニコチノイド系農薬の危険性
農薬は、「よく効いて安全」なものが開発されて広く使われるようになったあとその危険性が判明し、それに代わる「よく効いて安全」なものが新たに開発されて使われてまた危険性が判明し、という歴史を繰り返しています。ネオニコチノイド系農薬も、当初は「よく効いて安全」と言われていましたが、様々な危険性が分かってきました。コープ自然派では、2010年よりネオニコ排除に取り組み、カタログの商品にネオニコ不使用マークを掲載しています。
https://www.nara.shizenha.net/event/1081/
9、生協は民主主義の学校
生協は民主主義の学校と言われます。「組合員として生協に関わること」は、そのまま「国民として国に関わること」の練習になります。生きること、暮らすことはすべて政治とつながっています。政治とは、社会の意思決定をし、実現するプロセス。民主主義とは、ひとりひとりが生きやすく暮らしやすい社会のルールを、みんなで話し合って決めること。誰かにお任せするのではなく、そのプロセスに全員が参加する政治のやり方です。生協で「生協の政治」に参加する練習をして、「市の政治」「県の政治」「国の政治」などにも興味をもって参加する人が増えるといいなと思っています。
10、連合商品委員会
活動をつなぐといえば語らずにはいられない「連合商品委員会」という会議があります。コープ自然派の各生協から組合員と職員の代表が集まり、商品部職員と一緒に商品を開発する会議で、毎月行われています。2019年度、連合商品委員会で開発改良したり、企画が実現した商品は100品近くに上っています。組合員の声で生まれたたくさんの商品、ぜひお試しくださいね。
11、自然の住まい協議会
コープ自然派が住宅事業を行っていることをご存知ですか?森で木を育て製材する人々や、地域の住宅NPOと一緒に「自然の住まい協議会」という協議会を2005年に立ち上げ、森と町をつなぐ活動をしています。畠山重篤さんの「森は海の恋人」運動は有名ですが、まさに、森を守ることは里を守り、海を守ることにつながります。そして日本の森は、木を使うことで守られます。いちばんたくさん木を使うのは、やはり木で家を建てることです。でも、まな板一枚、本棚ひとつから国産材をとり入れることで、その一歩を踏み出せます。暮らしに木をとり入れること、暮らしに風を通すこと、そんな選択を意識してみませんか。
12、生協ネットワーク21
コープ自然派は、理念や価値観の近い生協と一緒に、商品政策や運動面での協働をすすめています。それが「生協ネットワーク21」の連帯事業です。https://seikyo-net21.jp/
大きくはないけれど、食の安全や暮らしのあんしんにこだわりを持った個性的な8生協+2事業連合。遺伝子組み換え食品排除、種子を守る、農薬排除、脱原発運動、ネオニコチノイド系農薬フリーなどの活動を共にしています。https://youtu.be/_JeBKkQ3pn0
13、コープ自然派奈良の理念
さて。コープ自然派奈良が、事業と活動を通して目指しているものはなんでしょうか?あらためて、コープ自然派奈良の理念をご紹介しておきますね。「わたしたちは、いのち 自然 くらしを大切にし、笑顔いっぱいの安心して暮らせる社会をつくり、未来への橋渡しとなるような生協をめざします。」
14、コープ自然派奈良のビジョン
コープ自然派奈良では、3年ごとに中期計画を立て、そのビジョンをもとに1年ごとの計画に落とし込んで、事業と活動を進めています。第5次中期計画のビジョンは6つ。ふうど、つながる、みらい、広げる、届ける、伝える。ふうど、つながる、みらいは主に活動で、広げる、届ける、伝えるは主に事業で担っています。そして、商品を通して理念を実現することを目指します。明日からはこの6つのビジョンについてお伝えしていきます。
15、ふうど Food&風土
食はいのちの源であることを学び、ほんものを「選ぶ目」を持った消費者を育てることが、コープ自然派の使命だと思っています。そのためにはまず生産者とつながること、地域の田んぼや畑とつながること。Foodと風土を守る、それはつまり食=農=環境のくらしです。
具体的には、国産オーガニックを買い支えること、野菜セットやひみこ米など地産地消を広げること、遺伝子組み換えや農薬、食品添加物を排除することなどに取り組んでいます。
16、つながる Love&Share
人は誰でも、自分が自分のままで大切にされて、安心して暮らせる社会で生きたいと思っていると思うんです。そんな人と人がつながりあい、たすけあい、地域に開かれたコミュニティをつくることがコープ自然派の夢です。いろんな個性、経験、世代、文化的背景などを知ること、理解すること。肩書や記号ではなく、人と人として知り合うこと。たすけてほしいと言える関係をつくること。パッチワークをつなぎ合わせるように、人の輪を広げたいと取り組んでいます。
17、みらい Green&Peace
人は自然の一部です。人は自然と調和するくらしを取り戻さなければ、地球の未来はなくならないかもしれないけど、人間の未来はありません。人は社会のすべてです。ひとりひとりが尊重され平和に暮らせなければ、社会の未来はありません。私たちの今日の選択が未来をつくります。だから、未来を選択する力を育むことが必要だと思っています。シンプルでエシカルな暮らし、政治や社会に関心をもつことなど、環境も平和も自分たちの手で守っていけるように、未来に残していけるように取り組みを行っています。
18、広げる(運営)
コープ自然派奈良の理念を実現するためには、組合員数をもっと増やしたい、つまりコープ自然派奈良の理念に共感し一緒に取り組んでくれる仲間を、もっと増やす必要があると考えています。例えば国産オーガニックを買う人がもっと増えれば、生産者はもっと作ることができます。そうすれば日本でオーガニックな土地がもっと増えて環境は守られ、地産率ももっと上がって食の安全が保障されることにつながります。そして、徹底した情報公開と組合員主体の公正で開かれた事業運営によって、「民主主義の学校」としての役割も果たしていきたいと考えています。
19、届ける(配送)
なんだかんだ言っても、事業の根幹は「毎日確実に商品をお届けすること」です。コープ自然派の配送は、子会社を作ってそこに委託する形はとっていますが、グループ会社であり「コープ自然派の一員」です。生協と関係のない外部の運送会社に委託しているわけではありません。だからこそ、組合員との接点=生協の顔として、組合員の想いに向き合い、組合員から信頼される配送をしなければなりません。具体的には、適正な配送コース編成、配送スタッフへの研修、働きやすい職場環境づくり、事故防止、エコドライブ等環境への配慮などに取り組んでいます。
20、伝える(広報)
コープ自然派の商品や取り組みが「伝わる」ブランディングを目指しています。カタログ紙面で伝えること、WEBサイトやSNSで伝えること、地域での食育活動やイベントなどで直接お会いして伝えること、組合員同士の交流の場で伝え合うこと・・・。未来を選択するためには知っていてほしいなあと思うこと、がんばってくれている生産者や素晴らしい商品のこと、わたしたちが目指す未来とそのために取り組んでいることの現在地、そもそもコープ自然派を知ってもらうための発信・・・。目にした人の今日が少しでもより良くなるような情報をお伝えできればいいなと思っています。
21、大和ひみこ米
#活動をつなぐ といえばやはり象徴的なのは「産直米」の取り組みです。コープ自然派奈良では12年前から、南檜垣営農組合のご協力のもと「大和ひみこ米」というお米を一緒に育てています。プロの農家さんがしっかり作ってくださっている田んぼに、組合員は田植え、生き物調査、稲刈りを体験させていただき、一緒に収穫祭をしてその年の実りをお祝いしています。現在は最低限の除草剤だけ使用しているので省農薬での栽培ですが、無農薬に向けて挑戦中です。主食であるお米から地産地消に。南檜垣を第二のふるさとに。
22、野菜セット
野菜は気温や天候で生育スピードが変化し、「この日に出荷」というのが難しい作物です。「野菜セット」は、生産者にとってはその日とれた野菜を売ることができ、消費者にとっては欠品なく野菜を買うことができる、どちらにもうれしい仕組みです。奈良の野菜セットはすべて奈良県産!奈良県農民連からコープ自然派奈良に直接持って来ていただいているので特別新鮮な上、野菜自体が健康だからかとても長持ちします。年間通して野菜セットを購入すると、なんと130種類もの野菜を味わうことができるんですよ。セットで何がくるか分からないのは使いにくいという方は、「ならやさい」チラシをチェック!奈良県産の単品野菜と月ヶ瀬健康茶園のお茶を掲載しています。
23、生産者交流
産直は生協活動の要です。奈良で暮らしているからには、奈良の生産者とつながりを深めたい。そんな思いで、産地見学や生産者学習会を何度もさせていただいてきました。葉香製茶では茶摘みやこんにゃくづくり、堀内果実園ではブルーベリー狩り、大紀コープファームでは梅干しづくりや塩レモンづくり・・・などなど。商品の良さはもちろん、こうした活動を通じて生産者の人柄や想いを知ることで、ますますファンが増えています。そして生産者にわたしたちのことを知ってもらうことも大切だと考えています。商品の向こう側を知ることを、まずは地元から。
24、奈良の学校給食を考える会
いま「オーガニック給食」が注目されています。グリホサートやネオニコチノイド系農薬など、これまで安全とされてきた農薬の健康被害が明らかになりつつあるからです。コープ自然派奈良では、奈良県農民連や県内の学校給食に関心のある保護者などと一緒に、2011年から「奈良の学校給食を考える会」をつくって活動しています。地産地消の学校給食を中心としたまちづくりで、ほんとうの食育と地元農業の活性化を実現したいのです。学校給食で必要な高品質多収穫の農産物生産を目指し、今年は栽培技術セミナーも開催しています。育てる人、はこぶ人、つくる人、食べる人、みんなが知恵と力を持ち寄って、地産地消&オーガニックの給食を実現していきたいと思っています。
25、奈良県生協連
活動をつなぐ のさいごは、奈良県内の生協同士のつながりをご紹介します。奈良県内9つの生協が集まって「奈良県生活協同組合連合会」をつくっています。ならコープ、コープ自然派奈良、生活クラブ生協、奈良女子大生協、奈良教育大生協、奈良県立大生協、奈良工専生協、奈良県労済生協、奈良県医療福祉生協の9つです。個性豊かな生協が一緒に学習や交流をしたり、平和活動をしたり、仲が良いのが特長です。また、JAや森林組合と一緒に「協同組合デーのつどい」を開催したり、「なら消費者ネット」や「奈良こども食堂ネットワーク」の立ち上げなど、協同組合間で連携した取り組みも進んでいます。そんな奈良県生協連は今年で設立30周年。これからも学び合い、あたたかい活動を続けていきます。