2021年7月のテーマ 環境月間

1、7月のテーマは「環境月間」です。

2、新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の拡大は、森林破壊により野生動物と人の接触が増加したことが原因なのではとも言われています。さらに自然破壊が続けば、深海や氷河の下に眠っている未知の微生物やウイルスを引きずり出してしまうかもしれません。人が必要以上に自然界に介入している現代のくらしについて、立ち止まって考えるべきタイミングなのではないでしょうか。

3、気候危機
ティッピングポイントということばを聞いたことはありますか?その引き金がひとつ引かれるとドミノ倒しのように連鎖し、もう元には戻らなくなる点のことを言います。地球環境におけるティッピングポイントがどこか正確には分かりませんが、その危機を防ぐために、2015年のパリ協定では「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えよう」と合意されました。その目標達成のためには、2050年までに世界全体のCO2排出量を実質ゼロにすることが必要だと言われています。まさに社会の大転換が必要です。

4、有機農業
4パーミルイニシアチブということばを聞いたことはありますか?「土壌中の炭素量を毎年4パーミル(0.4%)増やすことができれば、大気の二酸化炭素の量を相殺して地球温暖化を防止できる」という国際的な取り組みです。有機農業は、有機物(土壌炭素)の貯留を基本とする農業です。コープ自然派では、気候危機に対してまず取り組めることとして、有機農業を推進しています。土の中の生態系を守ることで、環境が守られると考えています。

5、森林破壊
世界の食糧生産の現場では、森林を伐採して農地や牧場をつくることを今なお繰り返しています。この森林破壊により地球温暖化がすすみ、関連して自然災害が多発しています。また、日本は国土の3分の2が森林ですが、安価な外国産の木材を輸入しており、国産材の利用がすすんでいません。放置された森に木が茂りすぎると、陽の光が届かず、木の根や土が弱くなり、ひどい場合は土砂災害を起こすこともあります。森の循環、森の生態系を守らなければなりません。

6、パーム油
コープ自然派では合成洗剤ではなく、せっけんを推進しています。そのせっけんを作るのに使われる油の多くは、パーム油。アブラヤシの実からつくられるパーム油は1年を通して収穫でき、生産性が高く、便利な油として世界中で使用されています。しかし、需要急増に伴い、急速な農地開拓で森林破壊が加速し問題となっています。太陽油脂はRSPO(持続可能なパーム油の生産と使用を推進する組織)に加盟し、RSPO認証のパーム油のみを使用。環境保護やそこで働く人々の人権を守るための活動を積極的に行っています。
https://table-shizenha.jp/?p=4420

7、自然の住まい 里山の家づくり
コープ自然派では、日本の森を守るために国産材を使った家づくりに取り組んでいます。吉野川源流の棚田で育つ「源流米」は、美しい棚田を守るために、その棚田で育てられたお米をいただくという「生産者と消費者の顔の見える関係」の象徴的なモデルです。コープ自然派では、このモデルを拡げた「自然の住まい(里山の家)づくり」を提案しています。森を保全するためには、その森の木を使って家を建てること。森の木を使うことが、健全な森ができるまでの何十年もの年月、山仕事の担い手たちを支えることにつながります。
https://www.shizenha.net/wooden_house/

8、海の環境
地球温暖化では、海の中の温度も上がり、海の中に「砂漠海域」が広がりつつあります。高い水温で植物プランクトンが少なく、生きものが命を繋ぎにくい海域(陸上の「砂漠」のような場所)です。世界全体で水産資源が非常に危機的状況にあり、人と食と海の環境を守る取り組みが必要です。北海道漁連では、秋鮭の遡上する河川の水質調査、植樹活動、ほたて漁業でのMSC認証取得など、資源を守り育てる漁業を続けています。

9、脱原発
原発は環境破壊の最たるものだと考えます。原発は、通常運転中でも微量の放射性物質放出や温排水の海洋放出で環境に影響を与え続けています。そして、ひとたび事故が起こると大量の放射性物質が放出され、大気中や海中、そして土壌の中にまで広範囲に拡散することは、東京電力福島第一原発事故で経験している通りです。また、原発で使用済となった核廃棄物は処分方法が決まっておらず、原発はトイレのないマンションとも呼ばれています。コープ自然派ではその前身となる共同購入時代から、原発に反対する運動を続けています。

10、遺伝子組み換え作物
環境汚染の最たるもののもうひとつが、遺伝子組み換え作物です。遺伝子組み換えは、異なる生きものの遺伝子を、目的とする植物や動物に組み込み、自然界に無かった生きものを作り出す技術。除草剤をかけても枯れない「除草剤耐性作物」や殺虫毒素をつくる遺伝子を持った「殺虫性作物」があります。最近話題の「ゲノム編集技術」も遺伝子組み換えの一種です。遺伝子組み換え作物は交配して自然界に広がっていきます。その結果、環境や生物にどれだけ影響するかはまだ分かっていないのです。コープ自然派は、遺伝子組み換え作物に反対しています。

11、電磁波
2020年3月、日本で5Gの商用サービスが開始されました。5Gは第5世代(5th Generation)のことで、携帯電話でいえば1G=音声通話のみからはじまって2G、3Gとなるごとに通信速度が10倍(5Gは1Gの10000倍)になってきました。5Gはこれまでと比べ、周波数の帯域幅が広いこと、周波数が高いことなどから、これまで以上に電波による健康への影響が心配されています。また、スマートスクール構想等により、こどもたちが大人以上に電磁波の危険にさらされることも心配です。電磁波の影響について学習を重ねていく必要があります。

12、化学物質
わたしたちは様々な化学物質を体に取り入れてくらしています。農薬、化学肥料、食品添加物、合成界面活性剤、排気ガス、マイクロプラスチック、たばこの副流煙、消毒薬、香料などなど・・・多くの化学物質にさらされ続け、化学物質過敏症を発症している人は13人に1人と言われています。特に合成洗剤・柔軟剤などの香料は、わたしたち自身がまきちらす加害者になっている可能性があります。人は83%を空気から摂取しています。きれいな空気を守るため、ひとりひとりの選択が必要とされています。

13、脱プラスチック
いま、プラスチックごみ問題が世界の大きな課題となっています。海洋汚染、動物への被害、マイクロプラスチックの生態系への影響、そしてリサイクルが難しいという問題…このままでは、2050年には海洋プラスチックごみは海の魚の量を上回るとも言われています。日本人はひとりあたり1年に70kgのプラスチックごみを出していると言われています。自然界で分解されないごみをこれ以上増やさない取り組みが必要です。

14、マイクロプラスチック
マイクロプラスチックとは、5mm以下の微細なプラスチックごみのこと。食物連鎖に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が心配されています。身近なところでは、洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤、洗剤や柔軟剤の香りのカプセルなど、もともと小さいプラスチックはもちろん、大きなプラスチックが破片化したものもあります。マイクロプラスチックは、魚などの体内に蓄積し、生体濃縮を経て、人間の体に戻ってきます。プラスチックごみ問題は、は環境だけでなく、健康にも影響のある問題です。

15、たまごパックのモールド化
コープ自然派では、2021年6月、一部のたまごパックのモールド(紙)化が実現しました。2020年よりリサイクル推進室を立ち上げ、議論を行い、その原資づくりとして商品案内(カタログ)の回収をすすめてきました。その結果、生産者の協力もあり、穂積養鶏のたまごパックのモールド化が実現しました。1年間で約8tのプラスチックを削減できる見込みです。また、モールドパックは回収しリサイクルを行います。さらにプラスチックを減らしていけるよう取り組みを進めていきます。

16、香害
香害とは、柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のこと(体臭は含まれない)。コープ自然派でも、組合員みんなで使いまわす箱やカタログを入れる袋などに匂いが付着し、配達されたカタログや商品に匂いが移って苦しんでいる方がいます。それだけでなく、このような化学物質を日常的に使用している人自身の健康を害することにもなります。症状は頭痛、めまい、吐き気、記憶力・集中力の低下などさまざま。空気を汚さないためにできることがあります。

17、せっけん
川や海の自然を守るために、私たちがまずできること水をきれいに使うことです。コープ自然派は、洗濯用や台所用はもちろん、シャンプーや歯磨きにいたるまで「石けん派」。石けんは排水されると、自然の中で分解され、約1日で水と炭酸ガスになって自然に還っていきます。対して合成洗剤は、自然界では分解されにくく、環境や人にさまざまな影響を及ぼすことが指摘されています。コープ自然派では、合成界面活性剤、蛍光剤、合成香料は使用せず、肌にも環境にもやさしい暮らしを提案しています。

18、おうちの中の農薬
農薬は、農地や森林だけでなく、蚊取り線香、シロアリやゴキブリ、ダニ等駆除など、住宅でも多く使われています。子どもの脳発達への悪影響が懸念されているネオニチノイド系農薬も、シロアリやゴキブリ駆除、ペットのノミとり、ガーデニングなどに多く使われています。コープ自然派では、生活用品も食品と同じように、独自基準に基づいて原材料や材質を確認してから取り扱いをしています。
https://www.shizenha.net/product_commitment/daily-necessities/

19、環境安全基本法
私たちの身の回りにはネオニコやグリホサートなど環境ホルモン(内分泌かく乱物質)と言われる化学物質があふれ、仮に1つの農薬が規制されても、次々と新薬が開発されてしまいます。香害、化学物質過敏症に悩む人も増えていますが、日本には環境中の有害な化学物質から子どもなど影響を受けやすい人を守るための制度がありません。有害化学物質汚染による健康や生態系へのリスクを最小化するため、「環境安全基本法」の制定を求める動きがはじまっています。コープ自然派でも学習会を開催しますので、またご報告します。https://www.nara.shizenha.net/event/2390/

20、BLOF理論
コープ自然派では「BLOF理論」(Bio Logical Farming:生態系調和型農業)の学習をすすめています。「BLOF理論」は、微生物の力を借りることで野菜が健康に育つように土作りをすることで高品質・多収穫を可能にする有機栽培理論です。有機栽培にはたくさんの「農法」があるのですが、この「理論」に基づいて考えることで、いろんな農法の根拠を知ったり、考えを深めたりすることができます。農業や環境を科学的に知ることはとても面白いです。

21、生物多様性
コープ自然派では、産直米の田んぼで毎年「田んぼの生き物調査」を行っています。どんな生き物がいるのかをみんなで調査し、生態系について学びます。また「ツルをよぶお米」や「コウノトリ育むお米」の取り組みは、ツルやコウノトリという生態系の頂点に立つ鳥を象徴に、その生態系まるごとを守ろうという取り組みです。環境を守るとは、その土地の生態系の調和を守るということです。

22、食=農=環境
コープ自然派は、食=農=環境を掲げ、たべものを中心に環境を守ろうと取り組んでいます。BLOF理論や田んぼの生き物調査を通じた有機農業推進も、森を守り、海を守り、空気を守りたいと活動しているのも、遺伝子組み換えやゲノム編集反対、脱被ばくに取り組むのも、すべてつながっています。私たちにはできることがあります。持続可能なくらしに一緒に取り組んでいきましょう。