組合員活動報告

地域でヒバクシャの思いを継承する ~入谷さんと話してみよう

■開催日:2023年7月17日
■場 所:コープ自然派奈良 会議室
■主 催:理事会(つながる)

7月17日、奈良県内の被爆者の声を掘り起こす活動をされてる入谷方直さんを招いてお話をうかがいました。
奈良県にはかつて「わかくさの会」という原爆被害者の会がありました。1985年の発足から2006年の解散まで約20年の活動期間の中で、全3巻の被爆体験手記集を発行しましたが、この手記集を全巻原本で収蔵する図書館は、奈良県のみならず全国のどこにも存在しませんでした。また、「わかくさの会」の活動自体も『日本被団協50年史』にわずか2ページ活動の概要を伝えるものが残るのみで、ほとんど記録が残っていません。このままでは貴重な資料や活動の歴史が失われてしまうと、入谷さんは「わかくさの会」の会報や総会議案書を入手し、古い新聞記事などから連絡先を辿り、ひとりひとり被爆者の方にコンタクトをとる活動を始められました。
しかし、そこの立ちはだかったのは著作権と個人情報保護の壁。「わかくさの会」が解散しているため、「わかくさの会」が発行した手記集に掲載されている手記の再掲であっても、改めて著者ご本人の承諾が必要です。しかし、ご本人が亡くなっていてご家族からは承諾がいただけなかったり、引っ越していて連絡先が分からなかったり・・・そのような壁をなんとか乗り越えて、昨年、奈良県生協連創立30周年記念事業の一環として手記集「奈良県のヒバクシャの声」を発行することができました。再掲を承諾いただけた手記に加え、その後のお姿や、ご家族の手記など、被爆の瞬間だけではなく、その前後を含めた人生全体を被爆体験と捉えた手記集を発行できたことは、とても意義のあることだと考えています。
継承とは、ただあるものから学ぶだけではなく、能動的に足りないものを掘り起こして繋げていく作業です。奈良県内の被爆者の声を守れるのは、奈良県に住む私たちだけです。家族の歴史を辿ることができるのは、家族だけです。家族の軍歴を調べてみるところから、戦争と自分のつながりを知ってみませんか。そして、すべての反核運動の原点となる被爆者の記憶を未来へ伝える活動を一緒にやっていきませんか。