組合員活動報告

小林宙さん講演会~種とともに、どこまでも

■開催日:2024年9月8日
■場 所:奈良市はぐくみセンター
■主 催:理事会(環境平和ボード)

中学3年15歳の時に、種苗販売会社「鶴頚種苗流通プロモーション」を起業。現在は大学で哲学を学びながら全国各地を飛び回り、在来種の種を守る活動に取り組む小林宙さんをお招きしました。


この日は、直前に滞在していた岩手の在来キュウリの実物2種類を見比べて、太く黄色いものは沿岸部、くびれがあり緑が濃いものは内陸系の特徴です、と解説。地形や人の移動、食文化が種の移動にも密接に関わっているという野菜を通した文化人類学的な考察のお話がありました。また、固定種と在来種という用語は混同されがちですが、固定種は種苗メーカーが交配しながら何年もかけて作り出す品種のイメージで、在来種はその土地に根付いた伝統的な品種を指すことが多いそうです。固定種や在来種は自家採種ができますが、昭和の半ばからF1(一代交配)品種が増加。種子は種苗会社が販売し、大半の農家は自家採種をしなくなりました。現在、種子の生産は8割を海外に依存。種子の輸入が止まったり遅れたりすると、その野菜は作付けできず、食卓から消えてしまうリスクがあります。同時に、国内の採種農家の減少と後継者不足で、採種技術の継承ができなくなる心配もあります。さらに、種子法廃止、種苗法改定問題など、タネを取り巻く問題は様々に重なっています。

こうした状況の中でも、在来種を守る取り組みは各地で行われています。一例として、宮城県の在来種「小瀬菜大根」を絶やさないよう、地元で「小瀬菜大根応援隊」を結成し、畑体験やメニューコンテストなどのPR活動の紹介がありました。質疑応答タイムでは、自家採種のコツや種子の保存方法、タネ袋の見方など、実用的な質問がたくさんあがり、参加者の皆さんの関心の高さがうかがえました。宙さんが野菜の多様性や各地での活動について楽しそうに語る姿は印象的で、いろいろ問題はあるけれど、タネの未来は決して暗くない、私たち一人ひとりの行動で変えていける、という気持ちになれた時間でした。


~感想より~
・原種を海外に持ち込み増やして逆輸入しているとは知りませんでした。種採りまでを実習する学習が小学校であればいいなと思いました。
・あらためて自分でも種採りしていこうと思いました。在来種を子どもたちにつないでいきます。
・固定種とか交配種について考えたこともなかったので、とても勉強になりました。