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「使用済みビンをゴミの日に出さなくても良い方法」―再利用ビンの仕組みを知ろう!
■開催日:2021年4月22日
■場 所:オンライン
■主 催:civic
今回はリユース(再利用)びんを8種70品目も取り扱っているという、いわば自然派にとってはリユースの「先輩」にあたる「生活クラブ」生協さんのノウハウを教えていただき、今後の参考にしようという取り組みでした。講師になってくださったのは、生活クラブ連合会SR推進室の山本義美さんです。
今からおおよそ50年前の70年代~80年代に大量消費大量廃棄による最終処分場のひっ迫が問題になり、それを受けて生活クラブでは1993年頃からびんの再利用に取り組み始めたということです。ちなみにその間、政府は「容器リサイクル法」を制定して、リサイクルするなら大量廃棄してもよいという理屈で、それまで業界が自主規制していた500mlペットボトル飲料の販売を解禁し、ペットボトルごみの大量発生を認めたという経緯があります。この仕組みの問題は費用負担に如実に表れています。現在のリサイクルコスト負担の割合は自治体負担(つまり私たちの税金)85%、メーカー負担15%です。その結果、現在一般家庭から廃棄されるごみの実に6割が容器包装ごみ(環境省2018年度調べ)となっています。
さて、世の中がリサイクルの免罪符を得て大量廃棄に拍車をかけているころ、生活クラブはリユースびんを拡大するための試行錯誤を重ねていきます。リユースを拡大するにはびんの統一が欠かせないということから、「Rびん」㊟1を流通させることにしました。これらの取り組みの総称は「グリーンシステム」と名付けられました。この中には宅配の中で生じるピッキング袋(食品が包まれている袋)の回収、リユース牛乳びんのキャップの回収、カタログ回収、卵パック(紙製、プラ製)のリユースとリサイクルなども含まれています。
統一びんが流通すると、具体的にどういうことになるかというと、900ml規格のRびんでは、醤油が入っていたビンが回収・洗浄された後はジュースのビンにもなれば、万能つゆのびんにも生まれ変わるということです。小さめの350mlの小瓶になると、マヨネーズが入っていたびんがトマトケチャップのびんになり、りんごジャムのびんに生まれ変わるといった具合です。
これらのRびんを循環させるシステム構築は、もちろん生活クラブ単独では不可能です。生活クラブは他の生協(東都生協、パルシステム、グリーンコープ)と協力して「びん再使用ネットワーク」というものを作り、リユースのコストを分け合うことに成功しています。
本来はこのようなリユースの取り組みが奨励され、誰もが容易に取り組めるよう国が法整備するべきなのですが、現在の「容器リサイクル法」はメーカー優遇、消費者(納税者)の負担過重な状況なのです。しかし、地球温暖化が加速している現代においては、各レベルで出来ることは法整備を待たずに果敢に取り組むべきだと私は強く思います。誰もが当事者だという覚悟が必要です。
さて、山本さんのお話の後は参加者が4グループに分かれて話し合いをしました。その中で出てきたアイデアや意見を紹介します。
☆山本さんのお話に出てきたLOOP㊟2に興味がわいた。リユース容器の外観の格好良さなどもリユースを受け入れてもらうためには重要だろう。
☆自然派の取り組み(カタログ回収や再利用ビンも取り扱っていることなど)のアピールがもっと必要。
☆生活クラブがテレビ番組「カンブリア宮殿」で取り上げられていたのを見た。社会的企業として魅力を感じる。
☆「私の増資金の使い道」を組合員が決められたらどうだろうか。リユースシステム構築のために使ってほしい!などというように。
☆政府の「自主回収認定制度」をもっと知りたいと思った。一定の回収率を満たせば国から出る補助金なのだろうか。
☆リユース瓶は衛生的なのだろうか?ちょっと気になる。
☆リユース瓶の取り組みはコープのような宅配システムには導入しやすいのだなと感じた。
☆ペットボトルや牛乳パック、発泡トレーの回収拠点は多いが、ガラス瓶については回収拠点がないと気付いた。
☆インドネシア人の方から:日本では丁寧な包装が多すぎて、家じゅうがゴミだらけになってしまう。またその捨て方も複雑で非常に大変。
☆卵パックの紙製パックへの切り替えの条件としてカタログ回収率70%という指標があることを殆どの組合員が知らないのでは?もっと宣伝が必要では。
☆運営側と一般の組合員の間の意思疎通が十分にできていないように感じる。組合員は何が欲しいのかが分かりにくい状況。それを知るために突っ込んだ設問が並んだアンケートをして組合員のリアルな動向を把握してみてはどうか。
☆今回のようなチーム活動発(組合員発)の取り組みがどんどん増えてほしい。
☆生活クラブの取組みを支える組合員もすごいと思う。どんな啓蒙?協力要請?をされているのだろうか。
☆びんのリユースが拡大していく場合、配送員の負担という問題が発生すると思うが、どのように克服されているのだろうか。
→これは当日時間の問題があり回答いただけなかったが、後日山本さんからお返事をもらえました。ビン回収は「業務である」という認識であったということです。
㊟1:生活クラブが他の生協と共同で使用している再利用ビンにつくマークのこと。900ml(醤油、みりん、ジュースなど)、500ml(醤油、酢、ジュースなど)、360ml(ソース、酢、シロップなど)、350ml(マヨネーズ、ジャムなど)、200ml(佃煮、ドレッシングなど)。合計70品目ほどある。牛乳びんにはRマークはついていないが、900mlと200mlびんがあり、やはりリユースされている。
㊟2:リユース可能容器を使用したショッピングプラットフォーム。2019年5月に米国東海岸でウォルグリーンズとクローガー、仏・パリでカルフールをパートナーにECサイトで実証実験を開始。2020年10月には東京で、5000世帯を対象にECサイトを立ち上げる。実店舗でもイオンリテールの協力で、首都圏10ヵ所以上で実証実験を展開する。同年10月からの実証実験では、食品業では味の素、大塚製薬、キッコーマン食品、キリンビール、サントリー、ロッテ、日用品ではI-ne、エステー、資生堂、P&G、ユニチャーム、事務機器メーカーのキヤノン、小売業のイオンリテールに加え、世界で初めて東京都が行政として参画し助成を行っている。(出展:日本食糧新聞)