組合員活動報告

「食の安全を守る人々」上映会

■開催日:2023年2月17日
■場 所:奈良県文化会館第3会議室  
■主 催:理事会 ふうど(GM)

現代の食を取り巻く様々な問題を伝えるドキュメンタリー映画「食の安全を守る人々」の上映会を行いました。弁護士で元農水大臣の山田正彦さんが、アメリカ、韓国、日本の各地を訪れ、現状に迫ります。
ゼン・ハニーカットさんは、息子さんの健康被害がGM(遺伝子組み換え)作物の栽培に使われる除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)によるものとわかり、反対運動を起こしました。運動はやがて全米に広がり、オーガニック食品の普及につながるきっかけになりました。
学校の用務員だったドゥウェイン・ジョンソンさんは、ラウンドアップを校内に何度も散布したことでがんを発症。発売元のモンサント社(現在はバイエル社)に対して訴訟を起こし、勝訴しました。専門家からは、グリホサートには発がん性、子どもの脳の発達への影響、妊婦から胎児への毒素の移行など、深刻な影響があることが指摘されています。ヨーロッパではグリホサートは規制強化の流れになっていますが、日本はそれに逆行して残留基準を緩和、100均やホームセンターなどで大量にラウンドアップが販売されています。
また、GM作物に続き、特定の遺伝子を壊すゲノム編集食品/作物の研究開発も世界各地で行われています。ただし、世界的には消費者の拒否感が強く市場には出ておらず、日本の3品目(高ギャバトマト、肉厚マダイ、成長促進トラフグ)だけがオンラインサイトで流通している状況です。日本ではゲノム編集食品/作物の表示は任意で、食品としての安全性評価や環境影響評価は不要としており、私たちは知らない間にゲノム編集された作物を栽培し、食べてしまうおそれがあります。
落胆するような現実の中にも、希望の動きはあります。韓国では小学校の給食にオーガニックの食材を取り入れています。妊産婦へのオーガニック食品の配布も始まっています。千葉県いすみ市の学校給食には、100%有機栽培のお米が使われています。子どもたちは、田植えや稲刈りを通して、お米が育つ過程を五感で体験することができます。いすみ市で有機栽培のお米づくりの指導を行った稲葉光圀さんの言葉です。「大事なのは儲けではなく、子どもたちの未来です。子どもたちが健康に育つ環境を守ること、それを大人たちは考えていく必要があります。」
映画の後は、コープ自然派事業連合副理事長の松尾さんを囲んで、GM作物やゲノム編集の問題点や、オーガニック給食の広がりについて解説していただきました。私たち一人一人が何を選ぶか、その選択が社会を変える力になります。映画を通して、それぞれができることは何か、守るべきものは何かを考えることができたのではないかと思います。